2003年10月22日
赤えんどう
久しぶりに赤えんどうの塩茹でを作った。
作ったっていうほどのことじゃない。茹でただけ。
水に戻した乾物の赤えんどうに、ちょっとだけ塩を加えて茹でる。
みつ豆なんかに入っているあの赤えんどうだ。
さいの目の寒天にこの赤えんどうだけ入れて
蜜をかけ、豆かんなんていうのも懐かしい。
今回も注意して茹でたつもりだったのだが、
三分の一くらいの皮がはじけ、茹で加減がバラバラになってしまった。
実はこの赤えんどう、わたしにとっては銀座の思い出の味なのだ。
銀座八丁目、日航ホテルの裏手にある小さなカウンターバー。
扉を開けると奥に向かってカウンターが伸び、小さな4人がけのボックス席が2つ。
カウンターの中は年かさの店主と、たいては若い男の子が2人いた。
女性はいない。カラオケなんてものもない。BGMもなかったのではないか。
店主と客、客と客の話し声がBGMだったような気がしてならない。
このバーで、突き出しはいつもこの塩茹での赤えんどう。
つまみながらオンザロックや水割りを飲む。
「えんどう豆、もうちょっと食うかい?」声がかかるのが楽しみだった。
銀座で父と合流したら、最後はこの店。店主は父の旧制中学の同級生だったのだ。
帰り際に、ビニール袋に入れてから紙袋に突っ込んだえんどう豆を持たせてくれた。
「ママちゃんに持ってきな」と必ずいわれた。母もこの赤えんどうのファンだったらしい。
店主は父が年をとるのと同じようにやっぱり年をとり、ある年亡くなった。
客のほうもみなリタイアの年頃だったから、
店の客有志で店をあけてサロンみたいにしていたそうだが、
今はどうなったか知らない。
銀座はとても懐かしい町で、子供の頃から連れられて
今は無い店、裏通りの小さな店、ずいぶん思い出があります。
ときどき訪ねてみたくなる・・・。
もうひとつ実験。
ドラッグしないと字が出てこないので。