2003年11月04日

羊をまとう

紙を一部こよりにしての表現と、
羊の毛を紡ぎ、紡がないままの原毛を織り込んだ布の表現。
紙というのは表現をのせるメディアとして
選びに選ばれることはよくあることだが、
ストーンとした紙に切り込みをいれ、紙縒りにして図形を刻み込み、
それを空間をあけて重ねていくことで、
思いがけない奥行きのある作品になる。
平面自体が力を持っていることがよくわかる。
紙を紙縒りにしたときの、戻ろうとする力と保持しようとする力。
そのバランスと緊張感が感じられた。
織りのほうは、いろいろな性質のいろいろな色の原毛をそれぞれ紡ぎ、
単純な平織りの中に原毛を織り込んで
動きや暖かさ、豊かな表情を作り出している。
布は、ストールに、マフラーにと使える実用的なサイズなのだが、
それ単体で飾っても十分に存在感がある。
それでいて、身に着けたときに人が負けない。
よく、身に着けるアートなどというけれど、
これらの作品もテキスタイルアートとしての服装品だ。
こういうものは、手にした人が身につけるときに扱いを工夫することで、
また新しい表情を見せてくれるだろう。
身につけることで表現に参加できる面白さを楽しんだ。

新郷笙子展「糸」布と紙
あしたまで 11:00-19:00
京橋 アートスペース繭

ああ、そうか。縒り合せた原毛も紙も、糸なのだった。
ウールというのは羊でできているのだと感じる、
素材のパワーのある展覧会でわたしも力をもらって楽しかった。

投稿者 りりこ : 2003年11月04日 20:37 | トラックバック
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