2004年01月11日
ナツカシの道(1/11)
昔住んでいた町へ行った。
駅の周り、通る道、あれこれ変わっているのをキョロキョロしながら歩く。
いくつかは変わらないけれど、相応に古びている。公共の建物は変わらず。
一番変わったのはおそらく駅の周りで、気づくと大型商業施設があって活気がある。
都心からこの街道筋のような町にいきなり越してきたとき、
がらんとした周囲のたたずまいに漠然と不安を掻き立てられた。
高い高い集合住宅が集まる開発地に住み、そこは落ち着いたいいところだったが、
周辺の町は相変わらず発展途上で変なところだった。
20年以上を経た今、開発地もそれなりに古び、
町のあちこちがマンションになったり商店ができたり、
いつの間にかなじんでいるように思う。
開発地は、門出を機会に購入する人も多かったので
幼い子供の多い活気のある場所だったが、
住んでいる人もそれなりに古びたらしく、老人も目立つ。
普通は川や駅や元宿場を中心に三代、五代と世代を経て
長いことかけて作られる町が
いきなり雑然とした中に作られた。
その町も相応に年老いたが、土地に根付いているともいえず、
なんとなくどういう老後を迎えていいのかわからなくなっているように見える。
久しぶりにオトウトと、遠慮もなく、酒もなく、普通に話をした。
たまには、古い家族とそうやって話すこともいいものだと思う。
なんでも時間をかけて解決していくことがあるのだと思う。
一般社会のスピードはますます速くなり、それはまるでゲームのようだ。
ゲームはゲームで刺激的で楽しい。
そればかりが楽しい年齢ではなくなったことが、残念でもありうれしくもあり。
その分気づかなかったものに目を向ける余裕ができたのだから。
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