2005年11月08日
「高い店」の価値
ホテルのレストラン。
すぐそばの同等の店に比べて格段に値段が高い。
しかも、10%のサービス料がつく。
なんでこんなに高いんだろうと思うと同時に、その店が混んでいることに驚く。
長いこと、ホテルのレストランで会食なんていうのは、
金持ちの自己顕示欲か自己満足だと思っていた。
料亭で会食なんていうのもそうだろう。
縁がないと同時に、そんなことをするのは愚かだと思っていた。
先日、一緒にお茶を飲んでいた年かさの人が、温厚な彼には珍しく怒った様子で言った。
「ひさびさに頭に来ることがあったんだよ。
いつものホテルのレストランを予約してあって、4人で食事をする予定だったんだけど
お呼びしていたひとりが急に30分くらい遅れるって電話があったんだ。
で、まあいいかなと思ったんだけど、親切のつもりでレストランに電話したのね。
予約してあるんだけど、30分ばかりゲストが遅れるそうだからよろしくって。
そうしたら、お受けしかねますっていうんだよ。
それは困るといっていろいろ話したんだけど埒が明かない。
すったもんだして何度か電話のやり取りがあって、
あなたそれはとんでもない心得違いだよ、
高いお金を客から取るっていう意味がわかっていない、
もう君とは話したくないから電話かけてくるなって
それっきり電話をとらなかったんだ。
あとからマネージャーからとりなしの電話があって収まったんだけど」
この話、どう思う?
わたしはまた、なんとなく「お得意様かぜ吹かして」とか「やれやれ、お金のある人は」
そんな感じのマイナスを感じてたのね。お金でねじふせるみたいな感触を感じていた。
街のレストランでも、VIPってのはわがままと決まっているみたいなもので。
あとになってふと思うんだけれども、
ああいう高額なレストランを使うっていうことは、
そのサービスを期待しているっていうことなのではないだろうか。
突然のスケジュールの変更や接待内容の気配り、臨機応変な対応、
そういった器量のようなものを買っているのではないだろうか。
さまざまなリスクの回避を負ってくれる店だからこそ、
高い値段を払って利用するのではないだろうか。
そう思い至った時、高い店の価値っていうものを
初めて認める気になった。
そして、その店で働く人は大変だなぁと思った。
つい、最近の発見。
投稿者 りりこ : 2005年11月08日 00:22 | トラックバック友人が、髪を切るのに、20年同じ人にやってもらっていて、
もとは、渋谷の流行のデザインカットで、
そのヘアーデザイナーは独立して、下町で開業。
で、友人が言うには、
「人柄」だと。
人柄が気持ちがいいから。
天才は天才で大切で、天才には人柄は無理で、
ところが、天才ぶっているだけで、
天才でもないし、人柄も悪いというのが多いと。
で、人柄も、天才に負けないぐらい価値があると。
まぁね、高いところって、
最近はとくに人柄が悪いひとが集まったりして?
売る側も買う側も……、
……な感じしないでもないなぁ。
だから、老舗であればあるほど大変かも。
格式を守りとおすのは。
意地を通せば商売にならないし。
ただし、逆に安いところで、
人柄が良すぎるのも気苦労だけどねーー、あはは。
最近、「行きつけ」っていうものがなくなって
店との付き合いが軽くなってきたわたし。
信頼する、信頼されるみたいな関係、
キライじゃないんですけどね。
老舗ブランドと客って、わがままを言う客っていう方向の逆に
うまくおねだりする店っていうベクトルもあって
そういうやりとりも楽しいものなのだけれど。